全般性不安症

全般性不安症とは

全般性不安症は、特定の出来事や状況に限らず、将来に対する不安や心配が長期間続き、頭から離れなくなってしまう状態を指します。「何か悪いことが起こるのでは」「失敗してしまうのでは」といった考えが浮かびやすく、理由がはっきりしなくても落ち着かない気持ちが続くことがあります。不安を抑えようとしても考えが止まらず、日常生活に支障が出てしまうことが特徴です。

不安が続くことで、集中できない、疲れやすい、眠れない、イライラしやすいといった心身の負担が強まり、仕事や家事、人間関係に影響することがあります。本人は「考えすぎているだけ」と感じてしまうこともありますが、努力や気持ちの持ち方だけでは改善が難しい場合が多くみられます。単なる心配性や性格の問題ではなく、不安への反応や調整のしにくさが関係していると考えられています。

全般性不安症の症状

精神面の症状

将来のことへの過剰な心配（仕事・健康・家族など）
不安が止まらず、集中力が落ちる
些細なことでも最悪の結果を想像してしまう

肉体面の症状

筋肉の緊張、肩こり、頭痛
睡眠困難（寝つけない・途中で目が覚める）
胃腸の不調（食欲不振、腹部違和感など）

全般性不安症の治療方法

薬物治療

不安が強く日常生活に支障がある場合、抗うつ薬（SSRIやSNRIなど）を用いることがあります。当院では、効果と副作用のバランスを考慮しながら使用を検討します。抗不安薬は一時的な不安の軽減に役立ちますが、依存のリスクがあるため必要最小限の使用にとどめます。
精神療法・心理療法

診察では、認知行動療法（CBT）の考え方を取り入れ、不安や心配のとらえ方を整理し、負担を減らす方法を一緒に検討します。支持的精神療法を中心に、安心して話せる環境の中で気持ちの整理やストレスへの向き合い方を支援します。
生活と環境の工夫

日常生活でのストレスや負担を見直し、調整していくことが症状の改善に役立ちます。睡眠や食事、休息のバランスを整えることで心身に余裕が生まれ、不安が和らぎやすくなります。また、一度に多くのことを抱え込まず、できる範囲で取り組む工夫を一緒に確認していきます。

全般性不安症のよくあるご質問

「心配性」との違いはなんですか？

誰にでも心配はありますが、GADではその不安が過剰かつ慢性的で、日常生活に明らかな支障をきたします。自分では止められない不安が特徴です。

病気のきっかけが思い当たらないのですが？

GADは特定の出来事がなくても、体質や性格、脳内の神経伝達物質の影響で発症することがあります。「理由がないのに不安になる」こと自体が症状の一部です。

薬に頼るのは抵抗がありますが、治療は薬だけですか？

薬物療法だけでなく、認知行動療法や生活習慣の改善も非常に有効です。不安をコントロールする力を高める治療法がたくさんありますので、ご自身に合った方法を一緒に探していきましょう。