認知症

認知症はアルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症などに分類され、それぞれに治療法や対処法が異なります。認知症初期は、加齢による「もの忘れ」となかなか区別がつきにくいですが、いくつかの違いがあります。多くの「もの忘れ」は忘れていることに自覚があり、日常生活の影響は軽微です。一方、例えば多くのアルツハイマー型認知症の場合、忘れている自覚がありません。そのため日常生活に支障を来します。
受診後は問診、神経心理学的検査により状態を確認します。必要であれば連携医療機関にてさらなる検査を行います。薬物療法、環境調整などによりご本人の苦痛軽減、ご家族の負担軽減を目指します。

統合失調症

統合失調症は非常に多彩な症状を示します。代表的な症状として、幻聴、妄想、まとまりのない言動といったものがあります。人口の0.5〜1%が罹患するといわれています。薬物療法、心理社会的療法、環境調整が有効です。
昔は薬物療法の副作用に苦しむ方が多くいらっしゃいました。しかしここ20〜30年で多くの新薬が開発され、薬物療法の副作用に苦しむ方が以前より少なくなりました。当院ではできるだけ副作用の少ない処方を心がけています。

注意欠陥多動性障害(ADHD)

これも発達障害のなかのひとつです。「忘れ物が多い」「よく考えずに行動してしまう」「じっとしていられない」「集中が持続しない」などの不注意、衝動性、多動が特徴です。一方で興味関心のある分野に集中しすぎてしまい周囲の変化に気づかないことがあります。多くの方は、成長に伴い、衝動性、多動が幾分か和らぎ、不注意が残ります。このような特性のため、学業や仕事に支障を来し、うつ病などの他の精神疾患に罹患することがあります。
自閉スペクトラム症と同じく、心理社会的療法、環境調整が有効です。また効果が実証されている薬剤がいくつかあります。適切な治療により日常生活の困難を少なくすることができます。

自閉スペクトラム症(ASD)

広汎性発達障害、アスペルガー症候群とも呼ばれていました。発達障害のなかのひとつであり、他の発達障害との合併も多くみられます。障害というより特性と捉えたがよいでしょう。特定の分野で高い能力を発揮することがある一方で、人間関係がうまく築けない、集団生活が苦手、会話が噛み合わない、などの生きづらさがあります。うつ病や依存症などの他の精神疾患に罹患する方も少なくありません。適切な心理社会的療法、家族教育、環境調整により、他の精神疾患の合併を抑え、日常生活の困難を少なくすることができます。

不安障害・強迫性障害

不安障害はパニック障害、社交不安障害(社会不安障害)、全般性不安障害などといったものに分類されます。
パニック障害は、パニック発作と呼ばれる発作を繰り返し、将来のパニック発作に対して過度に不安(予期不安)が強くなる病気です。パニック発作とは急な恐怖、不安に襲われ、過呼吸、めまい、動悸、発汗といった症状が現れる発作のことで、パニック障害以外の精神疾患でもみられます。パニック発作自体は短時間で治まり、身体的な検査をしても異常を認めません。しかし、パニック発作が落ち着いたあとも予期不安が続き、日常生活に支障を来します。
社交不安障害(社会不安障害)とは、いわゆるあがり症です。会議での発言や人前で何かをすることに強い苦痛と緊張を感じます。
全般性不安障害とは漠然とした不安や心配が長期に渡って続く病気です。
これらの不安障害は薬物療法、認知行動療法などの心理療法を組み合わせて治療をすることが多いです。デイケアや訪問看護などが有効なこともあります。早めにご相談いただければ日常生活への影響が大きくなる前に治療できます。お気軽にご相談ください。

強迫性障害は無意味だと認識している行動をやめられず、頭の中を病的な思考に支配される病気です。よく知られている症状として、「繰り返す手洗いに時間を費やしてしまう」という不潔恐怖・洗浄強迫や、「鍵の閉め忘れを確認しているうちに外出できなくなった」という確認強迫があります。他に、ラッキーナンバーや願掛けなどの縁起にこだわる、出来事を何度も思い出しては頭の中で確認する、など様々なタイプがあります。以前は不安障害のひとつとされていましたが、最近は不安障害とは独立した病気と考えられるようになってきました。
世界保健機関(WHO)は生活上の機能障害を引き起こす10大疾患の一つに挙げています。決して稀な疾患ではなく、人口のおよそ2%以上が罹っているという報告があります。
原因ははっきりと分かっていませんが、どうすれば症状が改善するかはわかってきています。治療は薬物療法と行動療法を組み合わせて行います。お気軽にご相談ください。